三条の湯

三条の湯

雲取山の温泉

東京の西に位置する奥多摩エリアは都心部と比べると圧倒的に自然豊かで緑の多い場所だ。東京都心を出発して西へ西へと向うと電車なら中央線から青梅線へと乗り継ぎ、2時間ほどかかって奥多摩駅へ。車なら、青梅街道を西進し、青梅市を過ぎてさらに40分ほど走り続けるとようやく奥多摩へとたどり着く。奥多摩駅周辺には、本仁田山、御前山など手軽に行かれる山が多く、行楽シーズンにはハイキングに出かける人々で賑わう。また少々難易度は上がるが、石尾根縦走路と名づけられた奥多摩駅から徒歩で東京都の最高峰である雲取山へと行かれるルートが整備されており、山好きの人たちの間に人気だ。今回ご紹介する温泉はその雲取山の麓にある「三条の湯」。東京都、埼玉県、山梨県の三県に跨って聳える雲取山の山梨県側にある山の出湯だ。

三条の湯

三条の湯へは、西東京バス丹波行きのバス停が基点となる。その名も「お祭」停留所。奥多摩駅から40分ほどの乗車だ。バス停そばには宿泊も出来る休憩所があり、カレーやラーメンなどを食べる事も出来る。車で来た際もここからすぐ林道に入るので、こちらで休憩や軽食を済ませるのもよいだろう。

国道411号線から林道へ入るとしばらく砂利道が続く。この林道は山梨県側からの雲取山へのルートや飛竜山へのルートになっているので、登山客も少なくない。さらに工事の車や、三条の湯にむかう(もしくは帰る)車も通るので、それほど歩いていて愉快な道ではない。単調といえば単調な林道がひたすら続く。とはいえ、空気は都心に比べれば圧倒的に綺麗で、木々も生い茂り、鹿の鳴き声が聞こえたり、蛙が道端で休んでいたりする。また沢が道の右や左を流れ、ふと休んで下を覗いてみれば清らかな水が流れていくのが見える。

三条の湯三条の湯

林道入り口からしばらく行くと橋が見え、そのそばに車が数台止まっている。さらに橋の先には通行止めを示す看板が立ち、道が封鎖されている。車で来た人も(関係者を除き)ここから歩きとなる。人によるかもしれないが、アップダウンのある土の山道よりも、平坦な砂利道は単調で苦痛を感じやすい。ダラダラとただただ歩き続ける、そんな感じだ。しかし、単調な繰り返しは人の思考に普段とは別のパターンを与えるらしい。様々なアイデアや思い付きが浮かんでは消えていく。単調な作業の繰り返しは時に拷問の一つだという。或る場所に置いてある石を反対側に移させ、移し終えたら、また反対側に戻させるという罰。精神的にタフな人も、この一見何気ない繰り返しの罰は堪えるのだという。それは達成感がないからだ。達成感の全くない繰り返し作業は人の精神を激しく揺さぶるというのだ。しかし、林道歩きはいささか話が違う。単調な繰り返しとはいえ、砂利の道は歩き続ければ、確かに目的地へと自分を近づけてくれる。そんな達成感が先にある上での繰り返し作業は、意外にも生産的なアイデアを生む効果もあるらしい。雑事に追われ、ふと立ち止まって考える事さえも忘れている日常から離れ、少しだけでも意味のあることを考えるきっかけになる。仕事や制作のアイデアに煮詰まったら、是非この道歩きをおすすめしたい。絶対の保証は出来ないが、普段の生活の中で出てこないものが何かしら出てくるかもしれない。

三条の湯

   
    

三条の湯三条の湯

さて、さらに歩き続けること1時間半ほどだろうか。道は車さえも入れない山道となる。ここまでくれば目指す三条の湯はすぐそこだ。沢の音を聞きつつ、植物を観察しながら歩くのもまた楽しい。

三条の湯三条の湯

三条の湯

沢に沿って続く林道をひたすら歩いていく。時折、小さな滝が見える。

三条の湯

砂利の林道を歩き通した後ならば、山道の30分はあっという間だろう。ほどなくして、見上げる斜面の上に山小屋が見えてくる。それが三条の湯だ。

三条の湯の歴史は200年ほど前に遡る。地元、甲州丹波山村字後山の河村源次郎という人が、山中で狩猟をしていた際、発見した鹿を撃ち傷を負わせた。源次郎が撃った鹿を追跡したところ、その鹿がある場所で、湧き出ている水に身体を浸している光景を目にする。それはあたかも傷を治しているような様子であったという。それ以来、その鹿を真似して付近の人々もその水を飲用したり温めて入浴するようになったという。

三条の湯
三条の湯

三条の湯

   
    

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三条の湯

   
    

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三条の湯
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三条の湯
三条の湯

源泉は10.5度の鉱泉なので風呂は加温してある。窓を開け放つと目に飛び込んでくる木々の緑。山の中で入るお湯は格別だ。疲れた身体をゆっくりと芯までほぐしてくれる。ちなみに付近の多摩川源流は東京都の水源地。小屋には浄化槽が設置されていないので石けんシャンプー類は使えない。

三条の湯

三条の湯は山小屋なので相部屋が基本となる。まとまった人数、もしくは空いている平日の夜はグループで一部屋借り切れることも。布団敷きは各自で。また山の朝は早く夜もまた早い。消灯は21時だ。

三条の湯の朝食

朝食は朝5時半から。春は山菜、秋はキノコと山小屋の主が付近の山から取ってきた食材が味噌汁の具になる。

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食堂

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