「波除」神社たぁ、なんと江戸っ子らしい粋で簡潔ななめぇ(名前)じゃねえかぃ。
「江戸の始めは海だった築地一帯を埋め立てる工事は難航したってらしいや。浚渫船(しゅんせつせん)とか大型工作機械なんてない時代だもんな。無理もねぇ。材木なんかで枠を作って、水をかい出し、土砂を運び、埋めてくってんだから。全ては人馬の力さ。ディーゼルやガソリンもない。蒸気さえない。湖や池と違い、海の水は満ちたり引いたり。その上、波風まであると来たもんだ。
そんなある日、波間にきらりと光るものがある。「あれはいってぇなんでぃ」、って引き上げてみたところが、なんと稲荷さまのご神体だったと思いねぇ。こりゃ畏れ多い、ってんで早速ご神体をご祭神にして祈ったところ、ぴったりと波風が止んで、埋め立て工事がはかどった、ってぇ寸法だ。なんともありがてぇ話じゃぁねぇか。
それ以来、波除様は築地のみんなのご祭神となり、前を通る人は一礼して通り過ぎるという存在だ。築地のおいら達にとって大切な神社なのサ。皆さんも築地においでの際は、市場だけではなく、是非波除様にもお参りしてくんな。たのんだぜぃ。したら、おいら忙しいから失礼すんヨ」(築地某談)
大祓い茅の輪(左)と厄除け天井大獅子(右)
中央卸売市場、築地市場の一角にある波除稲荷神社は水難除けをはじめ、厄除け、商売繁盛、無病息災にご利益があるといわれる神社。2009年に埋め立て350年となる築地の守り神である。厄除け天井大獅子、お歯黒獅子の他、蛤石、活魚塚、鮟鱇(あんこう)塚、海老塚、すし塚、玉子塚などが祀られている。
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お歯黒獅子(左)と玉子塚(右)
築地 | 波除神社 DATA