石山寺

石山寺
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しとしとと雨のそぼ降る中、真っ直ぐに伸びた石畳の参道を行く。インスピレーションという名の精霊がそこかしこに宿っている。それは沢山の人々に様々な思いを想起させ、沢山の人々の心に何かを残した。人の生は一度きり。しかし思いは複雑に絡み合う。笑って全てを忘れることが出来たなら、切なさが息をする暇はないものを。

紫式部ゆかりの寺

平安時代、貴族や皇族の間では様々なものが流行した。蹴鞠、歌合せ・薫物合せ・小弓合せ・力競・歌合・歌絵合・詩合せ・扇合せ・小筥(こばこ)合せ・琵琶合せ・草紙合せ・絵合せなど「物合せ」と呼ばれる競いものなどの風流な遊び、碁・双六・将棋、舞楽に占い。中でも極楽往生を願う貴族皇族たちが特に熱中したのが、「~詣」と呼ばれる寺院への参拝だった。

奈良の「長谷詣」や京都の「清水詣」と並び人気が有ったのが「石山詣」。宮廷の女官の間では、観音堂に篭り一晩読経をしながら過ごすという習慣が流行ったという。その舞台になったのが滋賀県大津市、琵琶湖から唯一流れ出る川「瀬田川」のほとりにある「石山寺」だ。聖武天皇の発願で、僧の良弁によって747年(天平19年)に開山されたと伝えられる石山寺は、その名を本堂の下にある天然記念物の巨石「硅灰石(けいかいせき)」に由来している。日本でも有数の観音霊場として知られ、西国三十三箇所観音霊場第13番札所。本尊は如意輪観音、真言系仏教宗派のひとつ東寺真言宗の寺院である。

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この石山寺に篭り、日本文学史上最高傑作と言われる「源氏物語」を生み出したのが紫式部。紫式部は「源氏の間」と呼ばれる部屋や石山寺の庭園で「源氏物語」の構想を練ったという。紫式部の他にも、「枕草子」の清少納言、「蜻蛉日記」の藤原道綱母、「和泉式部日記」の和泉式部、「更級日記」の菅原孝標女という錚々たる顔ぶれが、石山詣や石山寺についてその著作や歌の中で言及している。また東大門、多宝塔を寄進したと伝えられる源頼朝や、松尾芭蕉、そして島崎藤村に至るまで、石山寺にゆかりのある歴史上の有名人は枚挙に暇がない。

石山寺
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石山寺は花の寺としても有名だ。梅、桜、菖蒲、つつじ、サツキ、牡丹などの花々がその季節に咲き乱れる。秋の紅葉や月の美しい寺としてもその名を轟かせる。

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鎌倉時代に建立された鐘楼

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「源氏の間」

紫式部が源氏物語の構想を練ったと伝えられる部屋。源氏26歳から28歳頃を描いた「須磨」「明石」は、石山寺から見る中秋の名月に感動した式部が一息に書きあげたという。

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心経堂

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月見亭(左)と多宝塔(右)

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三十八所権現社本殿

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建久元年(1190年)の建立(近世に改修)の東大門。国の重要文化財。

石山寺

天然記念物にも指定されている硅灰石。広大な境内のあちらこちらに露出している。

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長い参道の両側にキリシマツツジが植えられている。見頃は例年4月下旬。

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