富士山富士山登山記日本の山

人は24時間でどこまで変われるか

人は24時間でどこまで変われるか。

写真・文 Tototo777

先日、夜中の二時、ふと思い立って富士山に登りにいきました。

山中湖あたりで朝日を見て、五合目についたのは朝の九時ごろ。何度も訪れたことのある日本一の山はその日も静かに佇んでいました。

富士登山を試みるたびごとに荒天に阻まれて、未だ一度もその頂上を見たことがなかったのですが、この日、朝からてこてこ歩き行き、光を見たり空を見たり、雲を泳いで虹に寝て、徹夜の頭は夢を見て、酸欠ゆえか腹へりか、力もあまり出ぬままに、のんびりゆっくりえっちらと、ようやく天に着きました。

朝おにぎりを一個食べただけで、手持ちの食料はカロリーメイトとチョコレート。それに900ミリリットルのポカリスエット。どこぞの山小屋で、昼飯を食べるつもりでいましたが、登りはどうにも先を急ぎ、写真を撮ったりなんだりと、結局下りもてこてこと次第に夕暮れも迫ってきたもので、結局何も食べずじまい。11時間歩き続け、夜の21時に車に戻りました。

大変さと言う意味では、奥穂高の頂上から、蝶が岳の頂上への行程のが精神的には大変で、
3776メートルを誇る最高峰は思いのほか楽チンではありましたが、さすがに日本一の山。登りがいはありました。なんて、終わってしまったから、そんなことを言えるのであって、実は、頂上直下は結構大変でした。(笑)

独立峰ゆえ、あたりの山々が近くに見えたりする楽しみはありませんが、時々雲の切れ間に覗く下界や天界の光景には胸躍るものがありました。ま、なによりもやはり涼しいのがいいですね。日も傾くと息は最後まで白いままでした。真夏なのに素晴らしい。暑がりにとっては最高です。だから山は好きなんです。

一人山を登っていると様々なことが頭をよぎり、色々な思いが現れては消えていきます。

家の事や会社の事。依然問題は山積みでも、結局一歩一歩前へ歩いていくほか無く、
それはきっと山登りと同じで、誰にせかされるわけでもなく、でも登らなければ先も見えず。
ま、そんな風に考えれば、いっそ清々しかったりもするわけで。

御殿場インターの手前で十数時間ぶりの食事に舌鼓を打ちながら
けだるい疲れを弄び、家に帰りついたのは夜中の二時。

消えてしまった人たちや、消えてしまったものたちや
消えてしまった時たちに思いをはせたりしながらも、密度の濃い、つまりにつまった24時間でした。

人は24時間でどこまで変われるか。

結局世界は何も変わらなくとも、個人の思いはほんの少しだけ変わるのかもしれない、そう思った富士登山でした。

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