人がどれだけ技術を尽くしても一朝一夕には作り出せない「もの」がある。それは「長い時間」が経過することによって生み出される味と艶だ。勿論、ただ時間がたてばよいというのではない。大切に守られ、磨き続けられることによって、はじめて深い味わいと趣が生まれるのだ。会津若松の奥座敷「会津東山温泉」にある「向瀧」はそんな味わいのある木造の建物が印象的な宿だ。開湯1300年前といわれる東山温泉に流れる湯川のほとりにひっそりと、しかし古い木造の建物のみが持つ独特の存在感でもって4棟の建物が連なって佇んでいる。明治初期から、昭和十年までに建てられたそれら4棟の建物全てが登録有形文化財に指定されているのだが、「向瀧」の魅力は実はその建物だけではない。接客の温かさ、丁寧に作られた料理。そしてお湯。全てにおいて、安らぎと心地よさに満ちているのである。
館内に湧く三つの自家源泉。水道水や井戸水、入浴剤、ボイラー、循環装置は(館内全浴槽)一切使っていない「完全放流方式」のお湯は柔らかく、入浴後には肌がすべすべに。
建物に囲まれるようにしてある庭。夜間照明に照らされて幻想的な美しさを見せる。積雪時の夜はさらに幻想的。
会津東山温泉「向瀧」 DATA