貝津教会

貝津教会

窓から差し込む瑠璃色の陽光

長崎県五島市

貝津教会の会堂内に足を踏み入れると、なんとも言えぬ懐かしい匂いがした。それは子供の頃に母の故郷でかいだ匂いだ。木と埃と、雨の後の命色めきたつような膨よかな香りが入り混じった匂い。静謐な会堂内に青や黄色や緑色の光がステンドグラス越しに差し込んでくる。それは、宝石のようにきらめく。アクアマリンやサファイア、ルビーにトパーズ。直線的で硬質な光は、窓を通り抜けて形を変える。模様を描き、温かみを帯びる。とても優しく柔らかい光だ。まるで心の中にぬるま湯を注ぎ込まれるように。

貝津教会貝津教会

最終寄港地として、遣唐使が大陸に渡る時に寄ったという福江島の西端、三井楽。その半島の付け根を横切る384号線沿いに、貝津教会はある。木造建築の小さな教会だ。1923年(大正12年)に建てられた。美しいステンドグラスは地元の人々の手作りだという。他ではあまり見かけないシンメトリカルで直線的なデザインが印象的だ。ぎしっとなる木の床を踏みしめ、赤いじゅうたんを通り会堂の中ほどに歩みいる。祈りの場特有のたっとく厳かな雰囲気に満ち満ちている。それでいて、何人(なんぴと)をも拒まぬ懐の深さと温かさを感じる。強張っていた肩の力がすうっと抜けていくような。

しばし佇み、思わず知れず目を閉じる。風の音が、鼓膜をなでていく。
人は、宗教や宗派に関係なく、瞑目した時、自然と謙虚な心になるものなのかもしれない。全くの無防備であるのだから。そしてそれゆえに、その瞬間、我々の知を超えた存在を近くに感じられるのではないだろうか。

貝津教会貝津教会

西日の当たる頃、ステンドグラス越しの光が教会堂内に色とりどりの模様を作り出す。床や椅子に乱反射するその様はとても清楚で美しい。

長崎の教会群とキリスト教関連遺産

その瞬間に光降る

心も胸も溶けだすような

その瞬間に

きらめきが降る

暗闇の中の

その中に

貝津教会の写真

長崎の教会群とキリスト教関連遺産
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教会をたずねる際のマナー注意点

教会は信者の方達の祈りの場です。見学は自由に行える場所が多いですがマナーを守り、静かに訪問しましょう。

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