寺院と教会が見える風景

寺院と教会が見える風景

寺院と教会が見える風景

長崎県平戸市

長崎本土から平戸大橋を渡って平戸島へ、383号線を道なりに進み県道153号線を田ノ浦方向に右折、およそ500メートルほど走ると進行方向左手側に細い路地の入り口がある。小型車がなんとか入って行かれるような細い路地だ。その路地を入り、さらに少し行くとその先に階段がある。「その景色」は、その階段を上ると突如目の前に広がるのである。

美しい石組みと漆喰で出来た塀が続き、それにそって石畳の道がゆるく左にカーブしている。手前に瑞雲寺、光明寺という寺が並び、そのむこうに眩然と聳える教会の尖塔が見える。東洋の象徴的建造物「寺院」と西洋の象徴的建造物「教会」が同居している。都会で見かける、お寺があってそのそばに教会もあって、という風景とは少し違う。一つの画面の中で一つの絵として完成しているのだ。どちらがかけてもきっと物足りなささえ感じてしまうほどに整然と二つの「異」がそこにある。まったくもって異質なものが同時に存在している。ありそうでない光景。それは言葉に出来ない不思議な感覚だ。既存の価値観が乱される時に喚起される戸惑いと驚き。そして、それに続いてやってくる感動。調和の霊感が鳴り響く。異なるものが渾然と存在する違和感は場合によっては嫌悪にもなりうるが、この風景は感動的ですらあるのだ。躍動する緑がさらに趣きを深くする。生と死の象徴的な一場面とさえいえるかもしれない。東と西は入り混じり、類稀なる風景を作り出す。

寺院と教会が見える風景。「瑞雲寺」1402年(応永9)建立の曹洞宗の寺。鎖国令により、母と平戸に想いを馳せながら国外に追放された、オランダ商館長の娘、コルネリアの供養塔がある。

長崎の教会群とキリスト教関連遺産
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出来れば曇り空、今にも雨の降りそうな午後に行ってみて欲しい。それも誰もいない時を見計らって。耳と心を研ぎ澄ませば、その一体にたゆたう、悲しみと喜びの入り混じったような独特の感覚が身体の中に流れ込んでくる筈だから。

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153号線からの入り口は少々わかりにくいので、もし迷ったら聖フランシスコ・ザビエル教会から降りていく道がおすすめだ。

寺院と教会が見える風景

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