阿蘇山

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美しさの向こうにあるもの---胸が締め付けられる懐かしさであったり、ぎゅっとなる切なさであったり、心が透き通る清々しさであったり、はたまた眠りの合間にある躍動であったり。いずれにせよ、完全な均衡と完璧な振動の前で、人はただただ立ち尽くすことしか出来ず、呆然と端然と颯爽と淡々と飄々と莞爾と炯炯と漫然と漠然と、ただ光の粒がきらめきを伴ってこちらにやってくるその出現点を眺むるだけだ。

阿蘇山

迫り来る光香の放埓。めくるめく煌めきの情動。それは例えるならば、まばゆく光りながらすうっと消えてしまった夢の中の森に似て、圧倒的な存在感と無限の虚無感の融合のようである。幻想がリアルを引きずっていく。現実が崇高を湛え始める。現世(うつしよ)と隠り世(かくりよ)の境の川はかくあらんと。目を閉じても汚れは消えずとも、純化の始まった時の狭間で正形を失った膨体は少しずつ少しずつその堆積をまして千切れ飛んでゆく。一秒ごとに明度は増して、一秒ごとにパルスが増して、継続的な哀しみは、断続的な透過へと変わってゆく。少しずつ薄くなり、少しずつ薄くなり。

阿蘇山

光は現れ消えてゆく。漣のように寄せては返す。永遠の連続と消失のポイント。空気が色を持ち始める。

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人はどれだけ涙を流しても、体はついに枯れぬらしい。人はどれだけ笑っても、心はいつか消えるらしい。

阿蘇山
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パースペクティブは遼遠か。それとも全てはそこにあるのか。目を見開いても、そこにあっても、それを見ないのか。郷愁と勇烈と虚脱と哀調を相伴しその瞬間の為に呼吸は続く。美しいノスタルジーは浅薄な空気と混合し上へと昇ってゆく。秋の空は気清し(けぎよし)。天空の随意に(まにまに)。

阿蘇山

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火の国肥後。現在の熊本県。世界最大の楕円形陥没カルデラを抱く山、「阿蘇山」。今なおその感情昂然と、思い気まぐれに沸っする活火山である。

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その名を冠する山はなく、「阿蘇山」というのはいわゆる通称だ。正式には阿蘇五岳(あそごがく)という、文字通り5つの山の総称。高岳(1592メートル)を最高峰に、中岳(1506メートル)、根子岳(1408メートル)、烏帽子岳(1337メートル)、杵島岳(1270メートル)が連なっている。噴火口は阿蘇中岳にある。

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