へぎそば

へぎそば 多彩なる日本料理・日本各地の食べ物

織物文化とそば文化の融合

米どころ新潟県魚沼地方、鯉の養殖や縮(ちぢみ)、四尺玉があがることでその名を知られる片貝まつりの花火などでも有名な小千谷市や十日町周辺で食べられているそばが、このへぎそばだ。

「へぎ」とは蕎麦の盛ってある四角い木箱の事。正確には「剥板」と呼ばれるヒノキを薄く剥いで作った折敷の事を指す。冠婚葬祭の折、そばで訪問客をもてなす風習のあったこの地で、一度に沢山運べて、持ち運びにも便利、なおかつ衣服を汚さない、という理由でこの「へぎ」と呼ばれる木箱に入れて供されるようになったのがその始まりという。

へぎそばへぎそばへぎそば

へぎそばの特徴はなんといってもそのコシの強さ。そして一啜り食すると途端に口の中に広がる香り。つやつやの麺肌。うっすらと青みがかった綺麗な色。これらはつなぎに日本海で取れる布海苔を入れることによって生み出される。蕎麦のつなぎに海藻と初めて聞くといささか驚くが、まだ召し上がったことのない方は是非一度試してみて頂きたい。これが想像を超える味なのである。

この蕎麦のつなぎに海苔を入れるという発想は、同じくこの地で有名な伝統的織物作りに海苔が使われていることから得られたと言う。

「伝統的織物」とは越後縮(小千谷縮)という麻の織物の事なのだが、この織物作りの工程の中にそばと布海苔が登場する。そばの茎を燃やして作った灰汁が糸を漂白するために用いられ、布海苔が糸に張りを持たせるための糊として用いられるのだ。縮とへぎそば、どちらも両者の存在なくしては存在しえないものなのである。

先人の創意工夫によって生み出されたもの、それが「へぎそば」というわけなのだ。

へぎそば

ところで、へぎそばは別名「てぶりそば」とも呼ばれる。これは「へぎ」に盛り付ける時に、片手でくるりとまとめて余分な水を切ってから乗せることに由来する。この一掴みとって振るやり方がへぎそば独特の美しい盛り付け模様を生み出すわけだ。

へぎそば

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角屋

小千谷インターから車で3分、291号線を左に曲がってすぐの場所にある「角屋」は創業明治22年のへぎそばの老舗。上質な蕎麦の産地である小千谷は湧水もまた豊富であり、昔から蕎麦処として栄えてきた。そんな蕎麦処にあって創業以来120年に渡り、その味を守り続けてきた「角屋」のへぎそばは一度食べてみる価値がある。「東京でへぎそばを食べたことあるけど、どうも・・・」というような方には是非一度賞味していただきたい。目から鱗が落ちること間違いなしである。

小千谷そば角屋

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小嶋屋総本店

6度の皇室献上という栄誉と歴史を持つ小嶋屋は布海苔つなぎの元祖といわれる十日町にある蕎麦屋。年に一度しかない入札で競り落とした厳選された上物の布海苔を使用したへぎそばはファンも多い。

小嶋屋総本店

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