獅子岩

獅子岩

月を食む獅子

自然は時として、驚くほどの造形美を見せる。それは例えば雪の結晶、雲の形、石筍や葉や石、砂模様。

誰しも、どうしてこんな形になったのだろう?とつくづく不思議に思うような岩や木などに遭遇した経験が、一度や二度はあるだろう。幾何学的な美。有機的な繊細。超時間的な積重。はたまた瞬間的な変化。様々な条件、要因、環境、それらが入り交じりながら、物体や生き物がときに不思議で驚愕するような形をもって存在する。

三重県熊野市井戸町、熊野灘に面して走る国道42号線沿いにある「獅子岩」も、まさにそんな造形美を見せる岩塊だ。

獅子岩は、花の窟神社と鬼ヶ城の間にある。その名の通りまさに「獅子」の形をした巨大な岩だ。高さ25m、周囲210m。美しくも荒々しい熊野灘に向かって雄々しく吼える姿はまさに壮観。一体どのような偶然の積み重ねで、こんな形になったのだろうと、見れば見るほどに感心する。頭のライン、上顎と下顎、鼻、目。まるで意図的にそんな形にしたかのように見事だ。さらに、秋から冬(11月、12月)にかけての満月の前後数分間には、獅子がまるで月を食むような姿を拝むことが出来、5月中旬から約1ヶ月間は早朝に朝日を咥える姿を見せる。気の遠くなるような長い年月をかけて作り上げられた岩に、月や太陽がすっぽりと入っていく、その幽玄な美しさ。それは一度目にしたら忘れられないものだ。

獅子岩
獅子岩

獅子岩は、元々は海に沈んでいたものが地殻変動で隆起して現れ、さらに海風と波によって侵食されこのような形になったという。

熊野灘から井戸川沿いに4kmほど上ったところにある熊野国総鎮守、大馬神社(おおまじんじゃ)の狛犬にも見立てられている獅子岩。(その為、大馬神社には狛犬はいない。)2004年7月には「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界遺産に登録されている。毎年8月17日に開催される「熊野大花火大会」の際には、各地から沢山のカメラマンが集まる絶好の撮影スポットとしても知られている場所だ。

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獅子岩

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