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ふぐの子糠漬

ふぐの子糠漬

猛毒=珍味?

美味なる高級食材の一つとして知られるふぐ。てっさにてっちり。そしてひれ酒。淡白ながらも味わい深く、うなるような美味をたたえるその味覚を愛する人多いだろう。同時に、「フグは食いたし命は惜しし」という言葉もあるように、フグの種類によっては、肝臓や卵巣に毒があるのも誰でも知っているところだ。フグの毒は「テトロドトキシン」と呼ばれ、青酸カリの約千倍とも言われる猛毒。体内に入れば呼吸困難を引き起こし、致死率も高い。

しかし。人間の「食への探求心」はその毒を含む卵巣ですら、食用にしてしまう。それがふぐの子(卵巣)の糠漬だ。元は保存食品であったが、そのクセのある旨みゆえ、現在では通好みの嗜好食品となって地元のみならず、全国にそのファンはいるという。

ふぐの子糠漬は、石川県の輪島市、金沢市金石、大野、白山市美川地区で昔ながらの製法で製造されている。使用するのは、猛毒であるゴマフグの卵巣。この卵巣を塩漬けした後、1年半~2年以上糠漬けにする。そうすることで不思議と毒が消え、美味しさのみが残るのだ。

実はフグ毒のテトロドトキシンは未だわからない部分が多く、この毒が無毒化する理由も完全には解明されてはいないのだという。解明されてはいないが、検査すると毒は消えているという事実。昔の人は経験的・体験的にこの事実を知ったのだろう。ふぐの子糠漬けが今のような形になるまで、どのような過程を経たのか、想像するとその勇気にただ脱帽するしかないが、様々な試行錯誤を繰り返し、身をもっての味見を繰り返し、生み出されたのに違いない。フグの毒が無毒化する理由が解明されてがいないゆえに、このフグの子糠漬けを作る職人さんは、今も昔ながらの製法を厳密に守り、道具一つに至るまで、軽々しく新しいものにはしないのだという。

注意: フグの卵巣を人体に害なく食するには高度な専門的知識と技術が必要。決して、自宅でフグの卵巣や肝臓を加工したりしないように。また、きちんとした場所で製造され、市販されているものは販売前に行政の安全基準をクリアしており、特に問題なく食することが出来る。

Japan Web Magazine 編集部

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