草津温泉

吉宗も愛した名湯「草津温泉」

地獄の隣の天国

日本は火山大国だ。世界の全陸地面積の約0.25%しかない細長い列島を千島火山帯、那須火山帯、鳥海火山帯、富士火山帯、乗鞍火山帯、白山火山帯、霧島火山帯の七つの火山帯が貫いている。これらの火山帯には、現在も活発に活動している活火山も数多くあり、今も噴煙を上げ、度々噴火を起こす。火山はひとたび噴火すれば周辺地域に甚大な被害を及ぼす。火山灰や岩が降り注ぎ、溶岩が流れ出す。火災が起き、また溶岩流や火砕流に飲み込まれ、多くの命も失われる。

火山にとっては100年、200年もほんのまばたきほどの間。活動が少し収まっても依然として、もくもくと煙を吐き、周囲一帯は独特の臭気に包まれている。ごつごつとした岩。空へと登る噴煙。煮えたぎる池。まさに地獄の様な光景だ。

しかし、そんな火山も我々に一つ素晴らしい恩恵を与えてくれる。火山があってこそ(*注)豊かに存在するもの、そう、ご存知「温泉」だ。火山大国である日本は、世界にもまれに見る「温泉大国」なのである。(注:非火山性の温泉も数多く存在する)

マグマで温められたお湯に火山ガス由来の成分が含まれ、地表にこんこんと湧き出る温泉。傷病に有効な成分を多く含み、凝りや疲れやストレスにも効果絶大。湯に浸かる時、知らず知らずのうちに「ほっと」出るため息。特に寒い季節など、雪の積もる露天風呂にしばれた身体を浸す瞬間。まさに幸福の時。そこは天国である。

草津温泉

湯畑

「恋の病」以外の万病に効く草津の湯

東京からおよそ190キロ。長野県との県境に程近い群馬県の山中に、天下に知れ渡る名湯がある。言わずと知れた「草津温泉」だ。古くからの湯治場として知られ、行基や源頼朝が開湯したという伝説も残る。江戸時代の儒学者林羅山によって、有馬温泉(兵庫)、下呂温泉(岐阜)と共に日本三名泉と称えられ、寛政年間の温泉番付(歌舞伎など、様々なジャンルの人気を相撲の番付に見立てたものの温泉版)にも東の大関として最高位を与えられているまさに名湯なのだ。

草津温泉の魅力をフルスクリーンで見る

草津のお湯の特徴は、ほとんど全ての菌を死滅させてしまうというその強烈な酸性度だ。酸性、アルカリ性の度合いを示すpHは2.05にもなり日本で一番強酸性のお湯といわれる玉川温泉に次ぐ。一円玉を浸けておくと、一週間で跡形もなくなってしまうというから驚く。その強酸性のお湯は、神経痛・筋肉痛・関節痛・皮ふ病・五十肩・うちみ・くじき・病後回復期・疲労回復・健康増進・慢性婦人病・糖尿病・高血圧症・動脈硬化症など様々な症状に効能があると言われ、年間260万人の人々が訪れるのである。

草津温泉を訪れた有名人

湯畑の迫力ある様子に目を奪われ中々気付きにくいが、湯畑の周りに設けてある囲いの石柱には、それぞれに草津を訪れた歴史上の著名な人物の名と訪れたと伝えられる年号が書いてある。それを眺めているだけで思わずワクワクしてしまうほどに、有名な名前がずらり羅列してあるのだ。源頼朝に始まり、行基、前田利家、徳川吉宗、十返舎一九、小林一茶、志賀直哉、高村光太郎などなど。草津温泉に訪れて、ほれ込んだ吉宗が、草津のお湯をはるばる江戸まで運ばせたという逸話も残っている。

特に医療のそれほど発達していなかった近代以前、怪我や病気をした際に温泉は有効な治療法であり、効能豊かで万病に効くとされた草津のお湯は様々な人々に愛されてきたのだ。

草津の共同湯

草津温泉のもう一つの大きな特徴に、日本一といわれる豊かな湧出量がある。毎分36,000リットル以上、ドラム缶にして約25万本分もの温泉がこんこんと湧き出しているのである。その為、草津にある全ての旅館、ホテル、温泉施設などは源泉かけ流し。また、その豊富な湧出量を利用して多くの共同湯も設けられている。このうち、「白旗の湯」「千代の湯」「地蔵の湯」の3ヶ所は観光客も無料で入ることが可能だ。(「共同湯」は草津町の人々の共同湯であり、清掃や管理も町で行われています。マナーを守っての入湯を。)

草津温泉

草津温泉共同湯

草津温泉

草津温泉街の町並み

草津温泉
草津温泉

   
    

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草津温泉
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