大名道具の世界 -茶の湯と能楽-

京都の野村美術館で、「大名道具の世界 -茶の湯と能楽-」が12月7日まで開催中。

江戸時代の大名家に伝わった甲冑・刀剣・拵(こしらえ)・馬具などの武器や武具、能面や能装束、小道具などの工芸品、雅楽器、茶道具、絵画などのことを「大名道具」という。「大名道具の世界 -茶の湯と能楽-」では、これら大名道具の中でも特に「茶の湯」と「能楽」に関わる道具を中心に展示する。

「茶の湯」と「能楽」は、大名家においては必須のものであった。大名の好んだ「茶の湯」は、千利休で知られる「侘び茶」とは異なり、「武家茶道」「大名茶」とも呼ばれる、道具や点前が派手目なものが多い茶で、各藩や各大名でそれぞれ公式の流儀が定められており、一つの領国内のみで行われていた流儀も多いという茶道。江戸時代には、豪華さや珍しさなどを競うようにして諸大名の間で盛んに行われた。主な流儀には遠州流、石州流、三斎流、有楽流、織部流、上田宗箇流、鎮信流、小笠原家茶道古流、不昧流(雲州流)、安藤家御家流などがあり、大名自ら、いわゆる家元のような立場となり、領内に浸透していったといわれる。

この「大名茶」の道具には、「侘び茶」ではあまり用いられることのなかった唐物の絵画や天目、金属の花入、水指なども盛んに用いられた。「侘び茶」とは異なり、「華美なもの」や「綺麗なもの」、「舶来もの」も多く、派手好きな大名には特に好まれたようだ。

一方、能では、舞台で映える華やかな布地のものも盛んに制作された。

江戸時代には、自ら茶道具をデザインしたり、収納する箱や袋などに趣向を凝らしたりする大名も多く現れる。その代表が遠州流の流祖として知られ、自ら意匠を手がけたり、時には海外に発注したという小堀遠州や、石州流を学んだ後に自ら不昧流の家元となり、後に江戸時代の代表的茶人の一人に数えられる松江藩主・松平不昧。松平不昧は300両から2000両もする茶器を多く購入するなど数々の名品の蒐集で知られている。

このように「侘び茶」とは一味違う、絢爛な大名の文化が垣間見える「大名茶」や「能」の世界。権力と豊富な資金を持っていた「大名」らしい豪華で気品に満ちた品々を間近で堪能してみては。

胡銅雲耳花入
安芸浅野家伝来の青磁珠算玉花入 写真提供:野村美術館
水戸徳川家伝来の翁面・伝日光作 白色尉 写真提供:野村美術館
写真提供:野村美術館

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